neighborhood shops vol.2「もくもくいし」

STORY

neighborhood shops”フカボリ企画

第2弾は、戸越銀座銀六商店街が好き過ぎて、住まいもお店も戸越銀座!という“くらしの雑貨店 もくもくいし”のオーナー・相馬ともみさんにインタビュー。
インテリア関連のお仕事~ショップオーナーの現在にいたるまで、お仕事で一環して「くらし」に携わってこられた相馬さん。

「自分の使う生活雑貨をこだわりをもってきちんと選んで大切に使うことは、暮らしをより楽しく豊かなものにしてくれると感じています」と話す相馬さん。お店には、ご自身の「くらし」に裏打ちされた、おすすめの道具たちが並びます。
もくもくいし誕生ストーリーとこれからについてお話しを伺いました。

目次

好きな道具で暮らしが豊かに楽しく!
溢れる戸越銀座愛、念願の銀六商店街で開店
ふらっと立ち寄れるお店として、いろんなジャンルの手仕事品を

好きな道具で暮らしが豊かに楽しく!

東急池上線「戸越銀座」駅から大崎方面にのんびり歩いて徒歩15分
週末には遠方から訪れる人も多い戸越銀座商店街に2018年7月、オープン

── まず、店名がユニークで響きもかわいいですよね。由来を教えていただけますか?

相馬:もくもくいしは、単純ですが、「木」と「石」からとりました。 "木"や"石"の天然素材は、自然のものならではの不規則な形や色の面白さ、温かみ、風合い、素朴さなど、飽きのこない魅力がありますよね。私自身、使う道具は経年変化を楽しめる自然素材のものがいいなと思っているので、この店名に決めました。

店名を体現するように、店内には、土、石、竹、草木など自然の素材を活かして、ひとつひとつ人の手によって作りだされる手仕事のうつわや台所道具を中心に、毎日のくらしを楽しく豊かにしてくれる雑貨が並んでいる。

ラオスやタイで作られるカトラリーは手に取りやすい価格帯

── 商品はどのような基準でセレクトされているのですか?

相馬:芸術品のような作品ではなく、日常の生活で気負いなく気軽に使えるものを基準に、私自身実際に使用して使い勝手のよかったもの、価格をおさえて買いやすいものを選んでいます。日常のことなので、シンプルで飽きが来ない色や形というのも大事ですね。
うつわに関しては、料理を盛り付けるイメージが浮かんだり、扱いやすさもポイントです。過度な装飾や鮮やかな色彩は家庭料理に合わないし、あまり重いと食器棚の出し入れも億劫になる。自然と手が伸びて、ストレスなく使えるか、という視点で見ています。

── 徹底したユーザー目線でのセレクト。相馬さんのこうした基準は開店前の専業主婦時代の経験から生まれたようで、その背景についても伺いました。

相馬:私は四国の徳島出身で、京都にある短大に進学し、卒業後は就職が決まっていたのですが、やっぱり好きなことを仕事にしたいと東京の専門学校に入り直し、インテリアコーディネーターの勉強をしました。その後はハウスメーカーや建築事務所でインテリア関係の仕事を出産まで続けることになります。
子育てをしていた専業主婦時代に、おのずと台所に立つ時間は長くなりました。疲れてても家族の為にご飯を作らないといけない日もありますよね。そんなとき、好きなうつわや台所道具に囲まれてることで家事のモチベーションが上がったんです。うつわを変えると料理が美味しそうに見えたり、自然素材の台所道具でほっこりしたり、ちょっとしたことですが、本当に道具に助けられました。

宮島で作られるさくらの木のへらやしゃもじ、東京の箸職人がつくるお箸

── ご自身でお店をもちたいと思われたのはいつだったのですか?

相馬:下の子供が小学校に上がるタイミングで雑貨店でパートタイマーとして働きはじめたんですが、その経験が大きかったですね。接客もレジも初めてだったんですけど、設計事務所にいた時のお客さまとの接し方とは全く違う世界で。お客さまの喜ぶ顔をいただくというか、接客の楽しさを知りましたね。
もともと、モノや食べ物、暮らしにまつわる物が好きなんですよね。そこに専業主婦時代に道具に支えられたこと、そして雑貨店での経験が加わって、こういうものを紹介できるお店をやりたいなと思いました。

── あこがれを持つことはあっても、実際に行動する方ってわりと少ないと思うんですけれど、相馬さんの中で何が後押しさせたのでしょうか。

相馬:なんでも衝動的なんですよ(笑) まずやってみて、駄目だったら変えればいいやって。あとは、長く働きたいっていうのも一つの理由だったかもしれないですね。家の近くで自分のお店をもてば、長く働けるかなって。
結婚当初は不動前に住んでいたんですけど、こどもの習い事の送迎がてら訪れていた戸越銀座商店街で、お店の人と会話を楽しみながらの買い物がとても楽しくて。肉屋さん、八百屋さん、豆腐屋さんがあって、「どうやったら美味しく食べられるのか」とか相談できる感じがすごく良かったんですよね。きっと田舎出身で人が好きっていうのもあるんでしょうけど。

その後、戸越銀座商店街が好きという理由でご家族と戸越に引っ越し、お店の場所も戸越銀座銀六商店街でと決めていたそう。

溢れる戸越銀座愛、念願の銀六商店街で開店

相馬:人々やお店があったかい戸越銀座商店街をもっとたくさんの方に好きになってもらいたい、楽しんでもらいたいと思う気持ちと、食べ歩きの街として知られる戸越銀座商店街と「食」の部分でつながることができれば幸せだと思いました。

── 開店までの道のりはスムーズだったんでしょうか?

相馬:それがなかなか物件が決まらなくて、探し初めてから2年かかったんです。商店街の方や亀井理事に相談して、なんとか今の物件にたどりつき、借りることができました。どうしても銀六でお店をやりたかったので諦めなくてよかったです。

── 銀六愛が凄いですね(笑) オンラインショップはいつ始められたのですか?

相馬:2016年11月です。店舗物件探しの間に、今できることをしようと思って、オンラインショップを立ち上げることに。リアル店舗の準備期間として、武蔵小山の創業センター主催のセミナーを聞きに行ったり、戸越八幡マルシェに参加したり、空き店舗を貸していただいて2日間だけの「もくもく市」にもチャレンジしました。当時インスタがまだなかったので、アメブロで宣伝していました。

オンラインショップはオープンしてすぐに反応がありました。量産品と違って手仕事のものはたくさん作れないので、近くのお店で見つけづらいこともあるんだと思います。入荷数も多くはなかったんですが、作家名や商品名で検索して辿り着いてくれたようです。

ただ、作家さんへのお取り扱いオファーでは「実店舗がないとお取引できない」と断られることも多かったそう。

相馬:それでも、将来の開店を信じて応援するからと、快く取引してくれた作家さんもいらっしゃって。その言葉を聞いた時は本当に嬉しかったですね。絶対に実店舗をオープンさせようって改めて思いました。ついお客さまへの説明にも熱がこもっちゃいます。

ふらっと立ち寄れるお店として、いろんなジャンルの手仕事品を

栃木県益子の作家、広瀬佳子さんのお皿

── 現在は、オンラインショップとリアル店舗の両方運営されていますよね、それぞれの良いところはどんなところですか?

相馬:オンラインショップはお店に足を運べないお客さまにも喜んでいただけるところですね、リピート購入してくださる方や、使った感想をメッセージくださる方もいて、嬉しいです。
リアル店舗はやはり直接お客さまとやりとりしながら細やかに接客できるところがいいですね。自然素材の手仕事品はひとつひとつ個体差があるので、実際に手に取って見て頂き、作り手の想いやものづくりの背景、お手入れ方法等も交え、手仕事品の素晴らしさをお伝えするのにはリアル店舗はなくてはならないと感じています。

企画展「カレーと丼の昼ごはん」の出品作品 中村恵子さんの小丼や片田学さんの栗のトレイ

── お客さまはどんな方がいらっしゃるのですか?

相馬:近隣のお客さまと遠方からいらっしゃる方が半々ですね。遠方の方はインスタ経由でいらっしゃるのですが、中には旅行の工程やお店巡りのひとつに組み込んでくださる方もいて、感激しました。
年齢層でいうと30~50代の方が多く、学生さんもたまにいらっしゃいます。最近だと若い男性でお料理される方も増えてきましたね。
商店街のお店ということで、いろんな方がふらっと気軽に入れるお店を目指しています。全然興味がない方にも、それこそ散歩の途中に寄って、こんな商品もあるんだということを知って頂けたりもするので、裾野を広げるという意味では商店街にお店をもてて、本当によかったなと思います。

── 企画展示も精力的に開催されてますよね

カレーと丼の昼ごはんvol.2を開催中(2/25(日)まで)

相馬:1~2ヶ月に1度のペースで展示会を開催しています。作家さんに焦点をあてたり、使うシーンや季節でテーマを設けたり。お客さまの声をヒントにすることもあります。
お店に「こういう物はないですか?」って探しに来られる方も多くて、よく出るワードの中に「カレー皿」「どんぶり」があったので、「カレーと丼の昼ごはん」という企画展を開催することに。

こちらも企画展「カレーと丼の昼ごはん」の出品作品 中村恵子さんのお皿


お客さまと一緒にどんな料理を盛り付けるか談義を楽しむことも多く、今回の展示ではおうちでどんなカレーを作るかで盛り上がったりしています。会期の半分をすぎて品薄になったうつわも出てきましたが、最終日まで楽しんでいただけたらと思ってます。

── 最後に、これから力を入れて行きたいことはありますか?

相馬:そうですね、手仕事っていろんな分野のものがあるので、今後は食まわりの道具やうつわ以外のものも紹介できればと考えています。4月には「お散歩」をテーマに、初めてアクセサリーやオブジェなどを紹介する展示を予定しているんです。
リビングで使うものや身に着ける 装身具など、使うシーンの幅をもっと広げていろんなジャンルの手仕事品を紹介していきたいです。


オーナーが集めた“使っただけ育つ ”こだわりの商品を手に取りにお店を訪ねてみてください。あなたの暮らしを支えるとっておきの道具に出会えるかもしれません。


shop info
もくもくいし
定休日:月・火曜日
電話番号:03-6421-6710
URL:https://mokumokuishi.com/
住所:品川区豊町1丁目4−12 スノーベル戸越銀座