neighborhood shops vol.4「加藤五郎商店」

STORY

品川区内でこだわりの木製品等を販売しているお店をフカボリしていく企画、“neighborhood shops"。

第4弾は、青物横丁商店街に店舗を構える、器や和雑貨のセレクトショップ「加藤五郎商店」の店長・流晶子(ながれ・まさこ)さんにお話をお伺いしました。 「エシカルで心地良いモノ・コトいろいろ」を軸に、日本全国の工芸品や和雑貨、フェアトレード商品まで幅広い商品の目利きを行う流さんに、お店の成り立ちやこだわり、おすすめ商品などをお聞きしました。

愛知県瀬戸市から始まった、器の専門商社「アイトー」

── 加藤五郎商店は、元々器の専門商社から始まったとお聞きしました。お店はいつから始め、なぜ品川を選ばれたのでしょうか。

株式会社アイトー 加藤五郎商店 店長 流 晶子さん

流:加藤五郎商店の運営会社である株式会社アイトーは、1949年、瀬戸焼の産地である愛知県瀬戸市器の専門商社としてスタートしました。社名のアイトーは愛知陶器からきています。 その後、百貨店と取引を始める際に東京にもオフィスが必要になったので、品川オフィスができました。今では品川オフィスが本社となっています。 ── 東京オフィス立ち上げたのが品川だったんですね。なぜ、品川を選ばれたのでしょうか? 流:当時のことを詳しく知っているわけではないのですが、倉庫を構えるための広大な土地があり、丁度良かったと聞いています。 実際にお店を運営してみて思うのは、便利さと下町っぽさを兼ね備えていて、温かみがあり、とても良いですね。昔から住んでいる年配の方はもちろん、マンション開発により若い世代の方々も増え、幅広い年代のお客さまが来てくれるのも嬉しいです。 ── 「加藤五郎商店」の店舗はいつからできたのですか? 流:現在加藤五郎商店となっているこの物件は、元々上の階を社員寮にしていて、1階で食器のアウトレットなどを行っていました。15年前、建物の老朽化により建て替えを行った際に、アイトーショップ&ショールームに変更し、その時から私が店長となりました。 その後、Webショップの「加藤五郎商店」が立ち上がり、Webと店舗の連携が取れてきたタイミングで、店舗名も「加藤五郎商店」に改名しました。今から5〜6年前のことですね。

現在の加藤五郎商店

社会的なメッセージを伝えられるモノやコトを提案したい ── 長年続くブレないコンセプト

── 器の専門商社からスタートされたとのことですが、店舗の方は器以外にも様々な商品が並んでいますね。どのようなコンセプトで商品をセレクトしているんですか? 流:お客さまに社会的メッセージを伝えられるモノやコトを提案したい、という想いを軸に 日本の優れた技術を伝えるモノやコト 人や環境に優しいモノやコト 四季を愛でるモノやコト の3つの観点から商品を選んでいます。 これらは、アイトーショップ&ショールームの頃から変わっていないんですよ。 ── 時代やトレンドの変化がある中で、コンセプトをブラさずに日々さまざまな商品をセレクトされているのはとても素敵ですね。 「日本の優れた技術を伝えるモノやコト」は器がメインなのですか? 流:そうですね。日本の技ってすごいなっていうのをものすごく実感していて。「皆さんの生活にも日本の工芸品を身近な形で取り入れてほしい」という想いから、取り入れやすい価格帯のものを多く扱っています。 また、アイトー設立当初から培ってきたネットワークを活用し、流通上なかなか取引が難しかった地場産業の製品や、産地外で作陶している個人作家さんなど、幅広いルートから商品を仕入れていて、今では日本全国の器を扱っています。 「加藤五郎商店なら何かあるでしょう?」と選んでいただけるような、作り手、売り手、買い手が喜びを共有できる品揃えを目指しています。

店内に並ぶ、さまざまな器

── 店内を見渡すと、器のバリエーションが豊富なのはもちろん、雑貨やアパレルなど、幅広い商品が並んでいますね。

流:私自身、アイトーの社内で働いていた時から和雑貨のバイヤーを担当していたこともあり、現在も雑貨のセレクトには力を注いでいます。個人的にも雑貨が好きなので、休日に展示会に出かけたりもしますね。

幅広い世代に人気だという、寄木の雑貨

── 店内の雑貨ひとつひとつに、長年目利きをしてきた流さんならではのこだわりがつまっているんですね。 「人や環境に優しいモノやコト」という観点では、どんな商品をセレクトされているのでしょうか? 流:オープン時から「優しさのある居心地のいい店にしたい」という想いがあり、そのためには何か社会に役立つ仕組みが必要だと考えていました。そこで取り組んでいるのが、フェアトレード商品、障害者作業所で生産された商品などです。 ── 施設や商品を選ぶ際のポイントはありますか? 流:福祉の観点だけでは長続きしないので、生産者を支える上で「サスティナブルであること」も重要なキーワードに、施設との取組やモノ選びを行なっています。 ── 今でこそ「サスティナブル」という言葉が一般的になってきましたが、当時からそういった目線でも商品もセレクトしていたんですね。 続いて、「四季を愛でるモノやコト」とは具体的にどんな商品なのでしょうか? 流:日本の美しさを感じる上で、やはり四季の景色の美しさ、行事や慣習に詰まった先人の知恵は欠かせないなと。四季をキーワードに、日本文化の継承も意識した商品を選んでいます。例えば、夏だったら風鈴やうちわや蚊取り線香などの雑貨など。 商品を売るだけでなく、暮らしの情報提供をしながら文化を繋いでいく…そんな一役も担えたらという想いで季節の商品をセレクトしています。

夏の風情をより感じることができる、風鈴

目利きの達人、流さんが選ぶ、今おすすめの商品

── お話をお伺いする中で、本当にひとつひとつ、こだわりを持ってしっかり商品を選ばれているのだと心から感じました。 そんな中でも、とくに今おすすめの商品を教えてください。

職人さんの技術の結晶である、石川県のケヤキのお碗

流:木の製品だと、ケヤキのお碗です。石川県の山中塗の産地で造られているのですが、ろくろをひく技術がとても高く、ものすごく薄くひけているんです。軽さ、上質感が素晴らしくて、手に取っただけで「本当に良いもの」というのが分かります。また、薄くて軽いので口あたりもとても良いんですよ。 国産の木で、充分に乾燥させてからひいているので、割れにくく、長く使えるのもポイントです。とくに40代のくらいの方に人気の商品ですね。 ── 確かに、手に取ってみると驚くほど軽いですね!上質なお椀を大切に長く使うだけでも、日々の暮らしが丁寧になりそうです。

幅広い年齢の方に人気がある、バングラディッシュのフェアトレードのかご

流:また、フェアトレード商品で人気なのが、バングラディッシュのかごですね。すごく幅広い世代の方が購入されています。なかなかないデザインで、お部屋に置くだけでも映えると思います。

コンセプトはブラさずに、より新しく、楽しく、購入した方が得をするお店に

── 日本の伝統工芸や四季、社会的に優しい商品など、既にさまざまな観点で幅広い商品を取り扱っていると思うのですが、これから特にどんなところに力を入れていきたいですか? 流:基本的には今の考え方を継続しながら、より新しいものや楽しいものをお客さまに提供できたら良いなと考えています。それはモノだけでなく、そこにまつわるコト(情報)も一緒に。 また、作家さんを応援するためにもしっかりと数字(売上)が作れないと申し訳ないと考えていて、年に2回フライヤーを作り、ポップアップなどの告知をしています。

2024年春夏のフライヤー

── お客さまは、どのような層の方が多いのでしょうか。 流:平日はご年配の方が多く、土日になると若い世代の方が増えますね。雑貨って割と年齢を問わないので、色々な世代の方がいらっしゃいます。 リピーターの方も多く、1000円で1ポイント、30ポイントで20%引になるポイントカードを真剣に集めてくださる方も多いんですよ。 購入してくれた方が得する仕組みを作りたいと考えていて、年に1回はハガキでシークレットセールのお知らせなども出しています。 ── お話を聞いていて、ひとつひとつの商品に、作家さんに、技術に、流さんの愛を感じましたが、それがお客さんにも伝わり、リピーターへと繋がっていっているのですね。 最後に、お店をやっていて一番やりがいを感じることを教えてください。 流:やりがいはたくさんありますが、中でも常連の方がご友人を連れてきて「このお店楽しいのよ」と自慢げに話してくれたりすると、本当に嬉しいですね。
“暮らしを少し豊かにしたい” “社会に少し優しく在りたい” “大切なあの人にこだわりのモノを贈りたい” そんな時は、ぜひ「加藤五郎商店」に足を運んでみてはいかがでしょうか。 とっておきの“モノ”とそれにまつわる“コト”に出会えるはずです。
加藤五郎商店
定休日:火曜日
電話番号:03-3474-1486
URL:https://katogoroshoten.shop-pro.jp/
住所:東京都品川区南品川2丁目7−8 1F